照福山(しょうふくざん)顕光院(けんこういん)圓應寺(えんのうじ)は、1602年開基以来、福岡藩・黒田家当主と深い縁(えにし)で結ばれた浄土宗の寺として長い歴史を紡(つむ)いで参りました。戦乱の世を駆け抜けた智勇(ちゆう)兼備(けんび)の名将として知られる黒田如水(くろだじょすい)・長政(ながまさ)父子(ふし)の思いを継いだ歴代藩主はじめ勇猛果敢(ゆうもうかかん)な黒田二十四騎の子々孫々(ししそんそん)及び黒田家ゆかりの姫君たちの篤(あつ)い信仰の拠(よ)りどころとなって参りましたのです。当時の文献や歴史書にその事実をつぶさに見ることができます。私どもでは、こうした歴史の伝承(でんしょう)を引き継ぐとともに浄土宗の真摯(しんし)な教義と実践を通し、真に豊かで実り多き人世の光と成り得(え)ますよう努めております。
時代は今、世界的規模で混迷(こんめい)のさなかにあると言っても過言ではありません。世界のどこかで戦いが起こり、飢餓(きが)や戦災を嘆く幼い子等が後を絶たないのが現状です。しかし、だからこそ心に灯(とも)す光として照福山(しょうふくざん)顕光院(けんこういん)圓應寺(えんのうじ)は、人の在(あ)り方を見つめます。410余年もの歩みの中には、さまざまな困難(こんなん)や苦悩があり、危機にも少なからず直面して参りました。一つ一つを克服(こくふく)し、また一歩、また一歩と足跡を刻まれ礎(いしずえ)となられた上人(しょうにん)方のご尽力が私どもの守るべき道と申せましょう。先祖を敬(うやま)い、父母に忠を尽くし、利にのみ走らず、友愛に満ちた人生の指針の一つとして私どもがお役に立てれば幸(さいわ)いにございます。